2024年 甲州街道中山道キャノボ(中央道キャノボ)

ペダルを踏み朝を迎える者、日々旅にして旅を栖(すみか)とす

東京ー大阪間を自転車で24時間以内に道路交通法を守って走るキャノンボール。東京大阪には江戸時代5街道のうち3つの街道が開かれ、東海道、中山道、そして東京から諏訪までの甲州街道、この全ての双方向キャノンボールを達成するのが目標だったので、今回その最後となる、現在の中央自動車道・JR中央線の元となった東京から諏訪までを甲州街道、諏訪から大阪までを中山道に沿った道、中央道キャノンボールを走る事にした。

いつもの通り数日前より自転車の整備を開始。ヘッドパーツの交換、BBの交換、各ボルトにレンチを当てて緩みがないかチェック、前回のキャノボより3か月放置していたチューブレスレディタイヤに前後20mlづつシーラントを追加、そして試運転。キャノンボールは24時間のチャレンジなので、追加整備なしで24時間不具合が出ず走り切れるよう仕上げておけば良い。戦闘機が飛びながら整備するのか、という話と同じ。そうすると携帯する工具も最低限ですむ。

コースにもよるが信号待ちが全体で3時間近くあるので、コンビニで休憩するのは時間のロスになる。食料を持って走り、信号待ちで食べ、コンビニでは買い足すだけにすると効率が良い。おにぎりでも良いのだが一口サイズのは入手しにくいので、どうしても薄皮アンパンシリーズになる。(薄皮はヤマザキの商標だが、他社の4~5個入りのものもここでは便宜上薄皮と呼ぶ)ただ欠点はどうしてもアンパン、クリームパン、チョコレートパンと甘いものばかりになる。幸い本家のヤマザキ薄皮には薄皮グルメシリーズという総菜パンに近いものがあり、キャノボのQOLがものすごく高くなる。途中のコンビニではまず入手できないので、出発前にヤマザキのお客様相談室に電話して販売している店を確認し、前日の朝の売り切れないうちに買いまわる。今回は入手可能な玉子パンとハンバーグパンを用意した。

前日の土曜日、出発地日本橋に予約したビジネスホテルに移動。東京のホテルはコロナ騒動終焉後、インバウンドの回復もあいまって非常に値段が高くなっているように見える。が、早めに予約を抑えておけば1万円以内で泊まれる。それはキャノンボールでなければ、の話。キャノボは風や雨を読まなければいけないので、ギリギリで判断する事が多い。年末もそうなのだが、楽天トラベル等はキャンセル料がかかる直前の3日前からものすごくキャンセルが出て予約状況が変化する。勿論それを狙ってる人も多数いるのでキャンセルが出ると1分以内にまた売り切れる事も多いのだが、諦めずによく見ていると予約を取れる事が多い。今回は前々日に日本橋の元標から1.4kmの東横イン日本橋馬喰町店を税込9600円で予約できた。

20時ごろ、五街道、日光街道と奥州街道の併設区間沿いにある日本橋馬喰町のホテルに投宿。近所の餃子屋さんで餃子とビールの一人前夜祭を行う。実はキャノンボール2回目のTOフル中山道の前夜に日本橋人形町で餃子とラーメンとビールを飲んで達成しているのでちょっと縁起を担いでいる。ホテルに戻って部屋で自転車の変速機や各部に問題ないか最終チェック。輪行中にRDをどこかに当ててキャノボ直前Di2の保護モードになってしまったフォロワーさんの話を聞いたので、慌てないために対策も調査済みだが特に問題はなかった。お風呂に入り、21時50分、寝床に入る。いつも6時間睡眠なので3時50分に目覚ましをセット。キャノボ前はわくわくし過ぎていつも絶対良くねむれないので、とにかく寝れないでも焦らず、6時間横になっておこうと考える。これまでの全てのキャノボが良く眠れなかったが、いつもの睡眠時間と同じ時間横になっているだけで疲れも取れたし眠くなった事もなかったので。相変わらずうとうとした感じで、1時、2時、3時と時計を見ている。3時になってなんだか頭もはっきりしたし時計を10分毎に見ていたので、もう起きて出発しようかと思うが、走行中に眠くなって仮眠をしてギリギリ間に合わなかったフォロワーさんの話を思い出し、目覚ましが鳴るまでは横になっていようと考えなおす。多分最後の10分ぐらいで、知らない人と飲みに行き、ポテトチップで乾杯して自転車で外を走ってるとなぜか会社の近所で、何かおかしいここは日本橋ではと思ったら工事中の高架がどんどん低くなって走れなくなり、こんなん走れんやんと思った時に目覚ましが鳴った。キャノンボール前はきっとすごく不安なんだろう、いつもちゃんと走れなくなる悪夢を見る。そして夢かと思ってなんだかホッとし、夢をみたおかげか頭がはっきりする。

餃子を食べに出た帰りに買っておいた朝ごはんを食べる。普段の食事に較べるととんでもなく多い量だが、食べておくと最初の100kmくらいは何も食べなくても走れる。パスタとクロワッサン以外を部屋で食べ、パスタはフロント横の朝食スペースにあったレンジでチンして食べ、食べきれなければ持って走ろうと思っていたクロワッサンも平らげ、旅行に行ったら便秘がちだけどトイレで頑張ってすっきりと出し、空気圧を持参の圧力計で6.5気圧に調圧。荷物をまとめてヤマト着払いでフロントから発送し、5時ごろホテルを後にする。本当は5時スタート予定だったけど、何時に出ないといけないという約束もなく、途中で気分でコースを変えるのも自由。寝ようがどれだけ休憩しようが交通法規を守って24時間以内に大阪梅田新道交差点の国道元票に到着すれば良いという、極めて自由で自分の気質にマッチしているキャノンボールの出発点、日本橋の道路元標に向かう。温度は20℃くらいだったかな。肌寒い感じも蒸し暑い感じもなく、ちょうどいい。

5時12分、元標に到着、位置情報共有をセット、写真を撮り出発のツィートをする。5時15分、スタートボタンを押して走り出す。出発時22℃、暑くもなく寒くもなく良い感じ、平均風速5m北風が強い。皇居は時間が速いのにランナーが結構走っている。
四ツ谷駅前でR20に合流、御苑前地下道の回避で信号を丸2回待って横断歩道を2回渡り5分ほどかけて新宿方向へ。東京近郊はこういう五差路が多い。右斜め前へいく場合はそのまま青信号で行ってしまっていいのか判断に迷うが、迷ったらとりあえず信号を待つ。日本独特の軽車両2段階右折ルールは本当にややこしい。

新宿駅を5時40分に通過、こんな時間なのにすごい人。日曜早朝なんでオールで遊んでた人ばかりやな。今回はOTの時みたいにゴミ箱が転がってあちこちゴミだらけという事はなく、まだ日本やなって感じ。新宿駅を抜け、またまた2段階右折の信号を待って北通りに入る。
杉並西でまた右折だが、ここは直進して交差点を渡った端から方向転換すると信号がないのでそのまま走れる。
順調に走ってきたが久我山で踏み切りに引っかかる。三鷹で少し複雑な都道14号のバイパスへの乗り換えを行い、出発して約1時間、走行距離18.6km。東京出発で2時間でグロアベ19kmあれば上々と考えているから全くあせらない。ただ風が平均8m、ブローで15mと相当きつく、方向は北メインで時々巻き、右から、そして時々右斜め後ろからになる。
あちこちに木の小枝と、ときどき大きな枝が折れておちている。気温は17℃、寒くもなく走りやすい。これからもう少し下がるだろう
6時39分、府中でR20に復帰。ここからはしばらく道もわかりやすい。

6時47分 X繋がりのshingoooooさんが府中駅前に迎撃にきてくれる。あとで動画見るとお名前いってくれてたけど風で聞こえてなくて、どちらさんでしたっけって聞いてて失礼しました。めちゃ嬉しかったです。本当にありがとうございます。

7時15分、日野市を通過。走行距離38.5km グロアベ19.25km/h
八王子税務署前の5差路をまた我慢の2段階右折して走る。西八王子駅、6月の中央道TOではずっと雨の真っ暗の中を走ってきて、やっと明るい都会に出てほっとして、自販機でジュースを買って雨に水没したアンパンを食べた、あの自販機だーとか思いながら西八王子駅前を通過し、高尾駅を通り過ぎる。駐車場がいっぱいあって呼び込みのおじさんもいっぱい。観光名所なのかな?ここまでずっと都会で、いきなりローカル色豊かになり登りがはじまる。
東京からこんなに近いのに観光地があるってすごいよな、と思う。

気温も少しさがって13℃くらい、でもウィブレもジレも着る事もなく、とても走りやすい。ここから登りだけどグロス稼ぐぞ。風力は落ちてきたが風が少し右後ろに回り込んで追い風基調となる。それほど登った感じもなく、一人ローディを追い越し、大垂水峠着。なんかこれで終わり?的な手ごたえのなさ。写真を撮っていたら自動車の車列に追い抜かれたけど、下りすごくゆっくりで後ろに付いたらめちゃくちゃストレスたまったので、先に行けばよかった。
相模湖まで下るとアップダウンを繰り返して少しづつ新笹子トンネルに向けて登って行く。相模湖まで降り切る少し前で出発から60km、3時間。グロアベようやく20km。東京発は信号峠と渋滞の多さで負債から始まるからしんどい。でもほぼすべての登りが終わって下りがはじまる鳥居トンネルまでがグロアベ22km/h、そこから先がグロアベ24km/hと考えているので全く問題ない。
相模湖沿いはOTでは真っ暗の中、山の壁沿いみたいな所をやたらグルグルグルグル回って全然景色が見えなかったので、昼間なら綺麗かなと思ったけど、湖側には木がずっと生えていて大して景観はよくなかった。山側はずっと壁みたいなので、ああここかぁという感じ。上野原を抜けると大月市、笹子トンネルに向かって緩やかな坂道が続いていく。
上野原のあたり、75km超えたくらいで赤信号で止まったら持参したパンをサコッシュから取り出して食べ始める。

天気はずっと曇りで時々パラパラくるが、雨という程のものでもない。
でも雲がすごく厚いので、降り出したらいやだなと思いながら走る。大月から先は6月のOTキャノボがあまりに雨で悲しすぎて、キャノボの数週間後、虎の穴メンバーのじ~さんと木曽福島から昼間に走ってもらったので、反対方向だがもう2回走ってて勝手しったる道。ずっと相模川上流の桂川沿いをはしるのだが、時々木の間から川が見えてすごく楽しい。
大月ではバイパスがOTだと少し登り返しがあるので旧道を通っており、今回も街中を通る旧道を計画していたのだが、今回どうせ登りだし見た感じまっすぐだったので予定を変えてそのまま直進しバイパスを通る。トンネルを2つ抜け、R20号に復帰する。同じ川だが名前が笹子川になっている。その表示を見て、笹子TNが近いのかな?と思った。OTで走ったときはずっと結構な下りだったように思ったが、斜度は大したことなく笹子トンネルの入り口に到着。入口の少し手前に、旧道の分岐があり、前回のトレースサイクリングではそちらを通ったので少し懐かしい。峠には旧笹子トンネルという短いトンネルはあるがかなり険しい峠だったので、旧笹子トンネル通過のキャノボをやってみても面白いだろうなと考える。
トンネル入り口到着10時10分。山の影だからかあまり風が吹いていない。

トンネル手前で何人か同じジャージを来たローディとすれ違う。こっちは元気よく挨拶するのだけど、逆三角形の顔に黒サングラス、そして揃って不愛想。レーシングチームの練習なのかな?
新笹子トンネルは横にもう一本掘っていた。上下で別のトンネルになるんだろうな。きっと新しいトンネルの方は路側も広く歩道もつくに違いない。狭くて怖い新笹子トンネルに意を決して入っていく。
しばらく対向車が何台か通りすぎ、こちらは車がこないまま、前からロードバイクらしい3台の明かりが。さっきのレーサーと同じジャージ来てるっぽいのであかんかなと思いながら手を振ってみたら、一人がめちゃさわやかに「こんにちは~」っておおきな声であいさつしてくれて、めちゃくちゃ嬉しかった。
トンネルの中で出発5時間を迎える。10時15分、出発して108km、グロス21.6km/h。この調子で富士見峠までグロスを上げ続けたら勝ったも同然やな。実は富士見峠までグロアベ23km/hで走れそうなら馬籠峠を登ろうと考え、妻籠宿、馬籠峠、馬籠宿経由のコースをGARMINに入れていた。獲得標高は400mくらい上がるが、距離は2km程しか増えない。まだ555km中108kmしか走ってないのに、なんだかえらい余裕。トンネルを抜けると天気も回復して雲も薄くなってる。前回のOTで春秋の天気予報は全く当てにならないと思ってるから、雨が降らないのは本当に助かる。気温10℃と表示されるが、全体を通してこれが最低気温なのかもしれないな、と思う。

トンネルを抜けると、遠く眼下に甲府盆地が広がってるのが見える。所々雲が切れ、日が当たりはじめる。
そして甲府盆地を囲む雄大な山々。来てよかった。甲州街道、かなり好きかもしれない、と考えながら甲府盆地へ快適なスピードで下っていく。キャノボOTのトレースで見た桃園がもうなつかしい。甲府ってほんとめちゃくちゃ良い街やな。
甲府市街の青沼通を東から西へまっすぐ抜ける。右からの横風でハンドルを取られる。後で実況を確認したら北風5m、ブローも5mくらい拭いていた。

道路はR20に復帰し北西に向かう。甲府を抜け塩川大橋の手前あたりから、右斜め前からの強烈な風を感じる。
達成後、実際に吹いた風向風速を見るためにサブスクしたEpicRideWetherで確認すると風速は平均4.5m/s、ブローで8m/s。
道は富士見峠までゆるやかな登り。ひたすら耐えるしかない。ずっと北風のままなら直角に南西へ転針する塩尻からは追い風に代わるはず。ここは我慢やな。
サイコンに転換点44kmと出てるのを見て、あと44km頑張ればええんや、2時間頑張ればええんや、と自分に言い聞かせ下ハンにしがみついて風を避けながら登り続ける。ここは韮崎市。韮(ニラ)、なんでニラやね~んって意味のわからん突っ込みをしながらひたすら我慢して登る。

富士見町32kmの表示をみつけ、富士見町からは下りやから、頑張るのは32kmだけや、と言い聞かせる。実際には転換点44kmは塩尻ではなく、R20から諏訪湖西側への分岐点の距離で、実はそこからも塩尻までは北西方向、甲府の先から実に77km、忍耐の3時間半の向い風だった。飲み物が切れたので白州のローソンでポカリを買う。出発して初のコンビニ。向かい風に疲労困憊していたのでプリンを買いカパっと一口で食べ、トイレをしてすぐに出発。3分半の滞在。パンも買っておこうと思ったがジェネリック薄皮シリーズがなぜか売っていない。あとで気づいたが、ローソンもセブンみたいに四角いパックの実装になっていた。
絶対に写真を撮りたかった白州のポットスチルで12時46分に写真を撮る。出発後約7時間半、距離は165km、グロアベは22km/hになっていた。ここでグロアベ22ならこの調子でいけば時間はまず大丈夫、しかしこのしんどさで最後まで本当に走り続けられるんやろか?風はまったく弱まる気配がない。
雄大な山々が見える。にんにんさん、あれを越えてキャノボしようとしてたのか?クレージーやな、と思いながら、八ヶ岳に見とれる。それにしてもしんどい。もうやめたいな。ここでハッと気づく。もしかして補給足りてないのでは?弱気になったとき、エネルギーが足りてない事が多い。しっかり食べてると、何のへのかっぱと頑張れる。
そういえば薄皮パンはまだ3パック近く残っている。いかんいかん。次々と玉子パン、ハンバーグパンと食べまくる。転換点16km、じゃあと6kmくらいで富士見峠か、よっしゃ。と気合を入れなおす。

富士見町の看板が見え、斜度が少し急になり、道が180度のヘアピンを描いて進んでいく。富士見峠までもうすぐだ。綿半ホームセンターと横のカフェを通り過ぎ、ようやく富士見峠に達する。
出発して178.1km、時刻は13時27分、8時間12分経過、グロアベ21.7km/h、風は相変わらず、時々右前から突風が入る。
でも行くしかない。ここからは少し下りで楽になる筈と言い聞かせ、下ハンを握る。OTのトレースで六花さん親子と一緒にお昼を食べたレストランかぶとを通りすぎ、向かい風は相変わらずだが、下りの勢いでスピードに乗っていく。トンネルを抜け、茅野の交差点(茅野市宮川)を超えたところで、時刻は13時50分、南から少し低めの日が差して、ガードレールの影を道路に落としている。
路肩近くを走っていたのだが、よく見るとガードレールの影にアスファルトの土手のようなものが作られていて道路に張り出している。気づいてよかった。道端に寄っていて乗り上げたら危ない所だ。ガードレールの影でなければすぐ気づいたと思うので、夜間の方が危なくないかもしれない。
諏訪湖の東岸を走るR20と一端わかれて県道16号に入る。たいがい高速で走っているので珍しいのだが、ロードバイクに追い抜かれる。抜きざまに挨拶してくれた。練習かな?少しづつ距離があきはじめたが頑張ればついていけるな、とおもっていたら諏訪湖が見えた所で右折していった。

14時11分、出発して197.6km、 コンビニ横の路地から諏訪湖沿いに出る。ここで補給しようかな?まだ玉子パンとハンバーグパンあわせて6個くらいある。
塩尻峠をこえて、これまでのキャノボでも何度か世話になっている、広い休憩所のある洗馬宿のローソンで補給と休憩をしようと思いそのまま走る。
諏訪湖沿いの写真を撮る。諏訪湖に所々白波が立っている。風向きは変わらないが、もう少しの辛抱だ。14時15分、199km地点。 出発して9時間、グロアベは22.1km/hまで回復、しかし食べてはいるけど相当ヘロヘロ。ほんとにこんな状態で最後まで走れるのだろうか。
岡谷駅のそばを抜け、塩尻峠への登りに入る。塩尻峠へは5.4km 獲得標高261m平均勾配5.6%。相変わらず登りは200Wくらいの出力で淡々と登っていく。
塩尻峠に登頂、出発して207.5km、時刻は14時47分 グロアベは21.8km/h、残り348kmを14.5時間、要求グロアベ24.0km/h
少しヤバいな。奈良井宿(鳥居トンネル)までの登りでどれだけグロアベを落とすかやな。とか思いながら、塩尻峠の標高がちゃんと映らないので写真を何度も撮り直す。気づいた2分半も写真を撮っていた。今回の旅の最高標高地点、塩尻峠。標高1012m。

下りはじめて間もなく、R20から離れて旧中山道を下り、塩尻駅の近く下大門の五差路で平出古墳への道に転針、これでようやく北風が向かい風から追い風になる。奈良井宿への登りはもう既に始まっている。中央線の高架下をくぐるが、幅が狭く車が離合できない。何台かすぎるのを待っていると、高架の向こうで止まってくれたので手と頭であいさつをして通りすぎる。
少し登った平出遺跡は、縄文時代の古墳や平安時代の遺跡など、随分昔からずっと人が住んでいる所で日本3代遺跡の一つとなっている。キャノボをする時は必ず通り、とてもなじみのある道。少し走ると洗馬宿の手前でR19に合流する。
グロアベが足りていないし、止まるとどんどんグロアベが減っていくのはわかっているが、気持ちの入れ替えも兼ねて、洗馬宿のコインシャワーなどがあるローソンで初めて本格的に休憩する。出発して219.7km、経過時間はちょうど10時間、グロアベ21.9km/h
新発売家系ラーメンを買いレンチンしてる間にパンとポカリを買いまわる。薄皮ジェネリックシリーズ、四角い入れ物にはいってるだけでなく、数も4つで1つ1つがちっちゃい。円安で小麦の調達に苦労してるのかな。チョコとクリームとアンパンの3種類を買う。
ラーメンはしっかり噛んでないので、消化大丈夫かなとか少し心配するが食べる速度優先で。それでもグロアベの小数点以下の数字が刻一刻と減っていくのを見るのはつらい。
トイレもすませ、15時34分、滞在18分ちょっとで出発。グロアベは21.3km/hまで落ちている。

ラーメンを食べてすっかり元気になった。奈良井宿まで16.3km、パワーを気にせず時間優先でがつがつ登る。コンビニを出発してすぐ、かえる館の横を通る。初期の中山道は塩尻まで行かず、ここから牛首峠を越えて岡谷へ抜けていたらしい。
新しくできたトンネルを抜ける。広くて明るくて走りやすいが当然のように中でも登っている。国道沿いに何度か奈良井宿7.2kmなどの距離表示が出るのは目安になってありがたい。ようやくR19から奈良井宿の分岐まで来て、なじみ深く趣深い奈良井宿の中へ入っていく。
16時15分、奈良井宿の横水水場に自転車を止め、ひしゃくで水を飲む。山水だが煮沸して飲むように、と書いてあるがいつもそのままグビグビいただいている。
写真を撮って出発。登りだったが追い風もあってグロアベは21.5km/hまで復活している。
これは頑張れば行けるな、と改めて思う。本当は奈良井宿の駒屋さんで五平餅を買いたかったのだけど、生憎しまっていた。時間が遅かったのかな。
奈良井宿の踏切の所をまがらず通りすぎてしまったけどすぐに気づいて戻り、踏み切りを渡ってR19に復帰する。鳥居トンネルまではわずか2kmの緩い登りなので、ここでもガンガン踏む。トンネル入り口16時23分、標高は974m、気温は9度で、やはりジレもウィンドブレーカーも着なくても寒くないので体力的には全然大丈夫のようだ。
風は残念ながら3m程度、ブローでも6m程度に落ちてしまっていたけど追い風なので大変ありがたい。鳥居トンネルはいつのまにかセンターポールがなくなっていて、今はそう怖い所でもなくなった。真ん中あたりまでは登りで、そこから少し下りになる。出口側の標高は994mなので、20m登っている。

鳥居トンネルで出発から239km、残り312km。まだ半分も来ていないのに、もう夜に突入。R19は何度か通った事のある道だけど、あとはひたすら走るだけ。
鳥居トンネルから内津峠の手前まで116kmは下り基調といっても、中津川や恵那では80mほどの登りを繰り替えし、結構な獲得標高となる。
寝覚めの床通過17時15分。出発から12時間。スタートからの距離266km、グロアベ22.1km/h。下り基調でグロアベをどんどん稼いでいく。中津川までは暗いが、中津川から先は割と明るくて走りやすい。
中津川312km18時42分 グロアベ23.2km/h 要求グロアベまで回復した。やはり下り基調でやや追い風、しかも信号があまり無いと、グロアベをどんどん稼げる。
瑞浪のあたりで応援のフォロワーさん、みきさんが来てくれた。その時は止まらなかったので誰かわからなかったけど、夜間の短調な走りの中、とても嬉しかった。

内津峠は少し登る。OTでは昼間だったので旧道で下街道を通ったが、峠には見事に何もなかったし、今回は夜間で旧街道筋の風情を楽しむこともできないのでR19のトンネルで通過する事にした。大した登りでもなく、トンネルを抜けると下りになる。峠から県道への分岐までこんなに距離あったっけと思いながら駆け降りる。R19は普段はトラックが多くて結構怖いのだが、日曜の夜だからかトラックもやや少なく怖い思いもせずに木曽高速と呼ばれるR19区間を終了。スタートして364.8km 時刻は20時41分 グロアベ23.6km/h
名古屋・岐阜の信号峠でグロアベを食われるだろうけど、最後は信号のない淀川河川敷を走るので東京近郊のような信号峠に合う事もない。多分間に合うだろうと思うが、油断は禁物なので引き締めていく。風は無風に近い。
時間がまだ深夜でないので、やはり信号は多くひっかかるが仕方ない。

20時53分 小牧市で信号待ちをしていると声をかけてくださる人が。フォロワーさんでアイアンマンレースを達成している鉄人のschnapapaさんだ!!ゼリーを差し入れてくれた。一つを速攻飲んでガラを回収してもらってもう一つをジャージの胸にしまう。ありがとうございます。めちゃくちゃ元気が出ました。
20時56分、ポカリが切れていたのでそのすぐあとに出てきたファミマ小牧池内陣配店で購入とトイレ。パンはまだ10個程あると思うので、無くなってきたら時間があればどっかで2度目の休憩を入れてもいいな。滞在3分半で出発。
JRの木曽川駅近くの踏切で2分近くひっかかってしまった。時刻は21時44分。そういえばJR東海道線ってR1に沿ってないよな、と改めて思う。
岐阜経由で関ケ原、米原と通って京都を通過するのは中山道準拠だな。R1は鈴鹿を越えているが、そちらに通さなかった理由が何かあるんだろうか?夜で景色が見えなくてつまらないから、色々考えながら走る。
今走っている道に近い、東海道の名古屋から中山道に向かう街道は美濃路というらしい。
木曽川・長良川・揖斐川を渡り、大垣城の横を通る。22時33分 405.6km グロアベ23.4km/h
少しグロアベを落としたが、もうすぐ信号が少なくなるので、また上げていけるはず
あと150km、アワイチ1回分やな。グロアベ25kmで6時間、今17.3時間経過なんで23.3時間。まず大丈夫。

大垣は「奥の細道」のゴールの地。記念館があるので、いつか訪ねてみよう。
垂井町、垂井宿の近くでR21中山道に復帰。関ケ原の看板が見える。
もうなんだか帰ってきた感がある。でもあれ?関ケ原って米原より手前やったかな、
とか考えてたから、頭も疲れてたのかもしれない。
しばらく登りだけど、温度も下がってきたから丁度いいな。関ケ原も気温9度で、
今回の旅の最低気温は9度をきらず、ウィブレもジレも着ることなく、春秋用の半袖の上下と、上はインナーに夏用の長袖ベースレイヤーで始終快適に過ごせた。
関ケ原の先、ローソンが見えたあたりで登りは終了。
米原駅の手前でR21はR8と合流してR8になり、そのまま大津へ向かって走っていく。
以前の中山道TOでは、りくのらさん(夫)の走行記を参考に彦根城の横を通り県道を走っていたのだが、中山道OTでR8経由でも大してかわらなかったのと走行禁止区間がなければ国道をシンプルに走った方が精神的に疲れないかな、という考えになっている。

0時頃、ライトがふっと消える。VOLT800のカートリッジを全部で3本持ってきたが1つ目がなくなった。
残り5時間ならあと1本で全然持つ。今回は淀川を真ん中の明るさで走ろうと思っている。パンは4つぐらい残ってたと思うけど、そろそろゴールに向けて最後のエネルギーを入れておこう
1時13分、しばらくコンビニがなかったが反対側にファミリマート野洲入町店があったのでバナナとinゼリーを購入してすぐに食べる。滞在5分で出発
475kmのこり77km、20時間経過 グロアベ23.7km/h 残り必要グロアベ19.3km もう勝ったも同然やな。
栗東でR1と合流。ここは工事中ですごくわかりにくい。ちゃんとサイコンに入れていたしその通り指示が出ていたのだけど、高架を上がらずに直進したら次の信号で進入禁止と高速入口しかなかった。Uターンして高架を登りなおす。
瀬田川大橋で琵琶湖の尻尾を抜け、大津駅の裏を通過した所から、本当に最後の、逢坂の関への1.5km 獲得標高80m、平均5%の登りになる。
遂に登り切った。向かい側に逢坂の関跡が見える。

いつも通り、東海道53次京都行きと東海道57次大阪行きの分岐となる、髭茶屋の追分で写真をとり、最終のツィートをする。
時刻は2時35分、504.8km 残り47.2kmを2時間40分で走ればよい。もう楽勝だ。ここからは勝手知ったる、というか知り過ぎた通いなれた道。

観月橋を渡り、河川敷へ入るために横断歩道の青信号を待つ。3時3分、 あと36.4km 、残り2時間12分
真っ暗な中、ライトVOLT800を真ん中の明るさにし、時速30kmで驀進する。河川敷を通いなれているからこの速度で走れるが、初めてだったら真っ暗なのでこれほどの速度は出せないだろうと思う。
さくら出会い館、3時24分 あと28.6km 残り1時間51分 最後30分くらい余りそうだな。
いつも最後の方で、ここでパンクしても間に合うかなって考えてしまう。
さすがにまだ老人が散歩する時間ではないが、一人真っ暗な中、若者?が上着をモモンガにして歩いてた。メタルクワガタを一つ一つ気を付けて通過し、最後に桜ノ宮高校の横から淀川河川敷を出る。
天六の交差点を2段階右折しゴールに向かう。梅田のナビオ前にはこの時間でもわりと人がいるけど、ここはニューヨークのスラム街か?という感じの新宿とは全然違う。ニューヨーク行った事ないしスラム街も知らんけど。
もうゴールが見えてきた。あ、あれはえむきゅうさんのレクサスかな?ヘロヘロなので車のお迎えはめちゃくちゃ嬉しい。
曽根崎から梅新の交差点に着き、信号が青に変わるのを待って横断歩道を渡る。
4:45:38、経過時間23:29:45、獲得標高4749m、距離551.95kmで中央道(甲州街道+中山道)TOキャノンボールゴールとなりました。