乗船してさっそく船内の売店に。あれ?伊勢うどんがメニューにない。売店の女の人に伊勢うどんないんですか?と聞いたら今日は売り切れました、だって。港で補充するわけじゃないのね。土曜の最終便だからか乗客も車両もガラガラ。常に土曜の最終便はこんな感じなのかもしれないな。まぁ仕方ない。フランクフルトと夜店で売ってるようなショボい焼きそば、アイスコーヒーを買う。食べ終わってから焼きおにぎりも追加した。


スマホを少し充電し、今回初めてライトを充電する。予備カートリッジは丸々使ってないのだけど、ここからは真っ暗なので念のため。いただいた未読の応援ツィートを読む。お礼の返信は到着してからにしよう。通常の箱根越えキャノボが24時間で520km前後、今回はフェリーの時間1時間を引いて23時間で506km。要求グロアベは余り変わらない。変わるのはフェリーのダイヤにより時間が制限される事と、後半に伊勢本街道を通るので行程の最後に榁木峠と暗峠の劇坂がある事。鳥羽から先をもう少し平坦で距離の短いルートを選べば難易度は少し下がるが、自分の力量にあわせてギリギリ達成できるかできないかを攻めるのがキャノボの自由で楽しいところでもある。それにしても不安。本当に最後の暗峠を登り切れるのかな。前半フェリーに間に合わないかもしれないという心配は実はあまりなかったが、フェリーに乗ってからも後半本当に走り切れるかずっと不安だった。雨は大丈夫だろうか?天気予報を見ると鳥羽で少し雨、それより先は降らなさそう。そうこうするうちに鳥羽港入港時間に近づいた。荷物を片付けて港の写真を撮り、車両甲板に降りて下船準備をする。

18時37分、予定より少し早く入港して走り出す。食べ物も飲み物も十分にある。後半戦168kmのスタート。前半戦を終了してみるとグロアベ24km/hで走ったのであと15分くらいスタートを遅くして後半に余裕を持たせてもよかったかと思うが、所詮は結果論。大阪発と違い東京発は都市圏が広いのでグロアベ負債からはじまる。計画としてはちょうど良かったのではないかな。もちろん後半の結果次第だけど。
スタートしてすぐ鳥羽駅前を通りすぎる。まだ19時前だし、駅前のスシローで寿司とビール、近鉄特急で今日中に家に帰れるわーとは全然思わなかった。最後まで走る気満々である。とにかく真っ暗で鹿だらけの奈良県を車通りの少ない伊勢本街道で越えていくのが不安でしかない。R167から伊勢神宮に向けてK37を左折。真っ暗が始まる。ハンドル上のライトをオンにする。明るくて遠くまでよく見える。近鉄電車の線路と並行する堂坂越えの真っ暗な道を鹿に警戒しながら進む。登りはスピードが出ないのでバッテリー節約のため上のライトは消し、下りでは上のライトを車でいうハイビーム替わりに400の明るさで点灯。こちらは対向車が来たら都度消すつもりだが、対向車は滅多に来ない。朝熊駅のあたりで民家が現れ、一気に明るくなった。伊勢市街を抜けるまではもう鹿も暗さも大丈夫だろう。フェリーで調べた時は鳥羽は雨予報だったけど全然降っていない。でも路面はずっと濡れているからさっきまで降ってたんだろうな。伊勢神宮前で歩道に入って乗車したまま伊勢神宮の写真を撮りツィートする。

10日ほど前に伊勢から大阪まで観光がてら伊勢本街道を試走して間違えそうなポイントをしっかりチェックしたが、日没後は様子が全然違う。宮川を渡ってすぐ国道を離れ伊勢本街道に入る。住宅街の路地のような道だが時刻はまだ19時半くらいなのに人通りもほどんどなく車もあまり通らない。地方の夜ってほんとに早いなって感じる。田んぼの真ん中、住宅街、田んぼの真ん中、住宅街と繰り返す。暗い所ではハイビーム(上のライト)をつけるが、さすがにこの辺は山ではないし鹿は出ないだろうな。試走の時はときどき伊勢本街道の由緒ある石塔(常夜灯)があったのだけど、街灯があるからかどこも常夜灯に明かりはともっていないな。スピードが速すぎて見つけられないだけかもしれないけど。川沿いを走り、そろそろ仁柿峠への登りがはじまるのかなと思ったら橋があって、あ、ここ計石(はかりいし)のところだ、と思い出す。夜は景色が見えずほんとつまらない。トイレに行きたくなった。この辺に試走の時につかった公衆トイレがあったよな。試走の時に人がいっぱいだったホルモン焼肉屋さんには車はいないけど電気はついてる。閉まったところかな、まだ20時半だもんな。こっちは2時から起きて3時から走っているので、もうすっかり真夜中の気分だ。
ほどなくファミマ松阪小片野店があったのでトイレだけ借り、食料も足りてるし飲み物もまだあるのでそのまま何も買わずに走り出す。しばらく走り20時38分、仁柿峠への登りへと右折する。わりと民家のある道を20分ほどのぼり、いよいよ真っ暗で曲がりくねった峠への急坂へと向かう。バイパスを作っているので、あと10年もすれば明るくて綺麗な道になるんだろう。少し雨が降りだし、途中で霧で真っ白になる。仁柿峠は10年ほどまえ、松阪に単身赴任に来てた人が交通事故で轢かれてそのまま崖に遺棄された未解決事件があり、試走の時に看板を見たので夜に一人で通るのは中々怖い。ハイビームをつけると前方が真っ白で何も見えなくなるので下の照明だけをつけ薄暗い中、ゆっくりゆっくりと登っていく。以前旧笹子トンネルで写真を撮ってもらったら青白いモヤに包まれていて、ググったら青白い光は守護霊に護られているって載っていたので、今回もこれは守護霊に守られているに違いないと思いながら登る。それにしても未解決事件、解決すればいいのにな。30分強で仁柿峠に登頂する。
ここからは長い下りになるが霧で真っ白で前が見えない。仕方がないのでゆっくりと下る。ナビの地図を見ながら道路がどちらに曲がっているか確認する。下るに従いだんだん霧も晴れ、雨も小降りになりハイビームをオンにしスピードを上げる。ただし鹿には油断せずすぐ対応できるよう目をこらす。試走の時は昼間だったけどこの辺で鹿を見た。柵のあるところを並行して一緒に走っていた。なんで鹿はついてくるんだろうな。下り切った道の駅美杉で雨も霧も止んで、飼坂トンネルまで100mぼど登り返したら鉄道のある伊勢奥津駅まで下る。伊勢奥津駅からは栂坂トンネルまで上がったり下がったりを繰り返しながら獲得標高700mほどの登りとなる。道の駅御杖通過は22時少し前。もう営業が終わっていて電気も消えている。登りは180w~200wくらいで漕いでいれば時間的にも体力的にも大丈夫だろう。栂坂トンネルの中はOTでは下りだが、TOでは緩やかな登り。一度トンネルが切れると、次のトンネルからは長い下りが始まる。幸いここまでは鹿にあわずに済んだ。
榛原の街の灯が見える。一番暗い区間は過ぎたようだ。大きな常夜灯があり灯がともっていた。伊勢本街道を通り、いつもの旅籠あぶらやの前を通る。時刻は23時6分、グロアベは23.5km/h、あと約65kmを約4時間で走れば良い。今は標高350m近いところにいて、ゴールは標高約0m。しかし最後に榁木峠と暗峠があるので余裕だなとは思えない。少し登り返した西峠にローソンがあるので残り少ないポカリを補給しトイレを借りよう。5月のOTではトイレだけ借りて何も買わなかったから少しでもお返ししなければ。ところが残念ながら改装中か閉まっていた。仕方がない、自販機で飲み物だけ買うか、もう少し先で別のコンビニに寄ろう。桜井まではずっと下りで、また暗い道だけど夜遅くでも車通りが多く、対向車が来ないときだけハイビームをつける。
桜井市街に入るととても明るくなった。暗峠も街灯が結構あるのでハイビームの出番はもうないかもしれないな。桜井から三輪へのバイパスの側道は少しトリッキーだけど試走でしっかり確かめてるので難なく通過。食料はまだあるし、桜井のコンビニでトイレを借りてポカリとコーラを補給する。コーラはペットボトルのキャップ付きのやつだったので半分ほど飲んでキャップを閉めてサコッシュに放り込む。空きボトルは暗峠で水を汲んでリムブレの冷却に使おうかというつもりもあった。

天理市役所前で時刻は午前0時、残り時間3時間と少し。ゴールまで残りの距離は45km。普通に考えると45/3=15km/hで、例えばOTで東京の信号峠を考えても45kmを3時間はほぼ勝ったも同然。リアルタイムの位置情報を見ていたキャノボ虎の穴仲間も2時ごろに着くのではないかと思っていたようだ。前回のキャノンボール、同じルートの反対向きのOTでも元標から暗峠越えの最初の2時間で36km、1時間あたり18km進んでいたので時間的には問題ないはず。でも心の中は不安でいっぱい。450km以上走ってきたあとで最後本当に暗峠を登れるんだろうか?全部押しあがりだとどのくらい時間がかかるのだろう?
彩華ラーメン屋台の横を通り天スタラーメン本店の横を通る。どちらもまだ灯がついていた。0時過ぎだからまだ営業中なのかな。左折して奈良町へ入る。観光地だからか、夜中でも多少人が歩いている。猿沢の池を左折して三条通に入り、いよいよR308、榁木峠と暗峠越えに向かう。三条通りのコンビニには夜中なのに若者がいっぱいたむろしている。土曜だし、繁華街はどこでもいっしょだな。
まずは1つ目の榁木峠を越える。峠まで距離にして2.8km、平均勾配6%、最大勾配18.3%、獲得標高193m。峠まで民家があり、街灯もずっとついていて伊勢の山奥に比べたら全然走りやすい。難なく、というわけではないが最低200w、時々300w超えで峠を越え、急坂を乗ったまま南生駒駅の横まで下り、いよいよラスボス、暗峠に向かう。
ラスボスといっても大阪側はとんでもない劇坂だが奈良側からは距離3.8km、平均勾配9.2%、最大勾配19.5%、獲得標高337mなので試走では問題なく登れた。
登りはじめの時刻は1時12分、あと22.5km、残り1時間50分。改めて時間が押してきていることに気づく。もう歩いた方が速いのと違う?という速度で、それでも乗って走るのが大事と言い聞かせ、頑張って登っていく。雨は霧雨で路面は濡れている。峠の少し手前、コインパーキングがある辺りが最大斜度だけど、ハンドルを引くと前輪が浮き、パワーをかけると後輪が雨で空転する。1時39分、後輪が滑ってコケはしなかったけど足をついて停止する。残念、さすがに急すぎてここから再スタートできない。峠まではすぐなので押して登る。信貴生駒スカイラインの高架下をくぐり、1時42分、暗峠に登頂。写真を撮って「急ぎます」とツィートする。急いでるくせに、せっかくだからと大阪の夜景の見える所まで少し降りて写真を撮りツィートする。

写真を撮ってると横の畑みたいな所から若い女の子の話声がする。キャンプ場でもあるのからな?後で調べたら何もなかった。まぁ空耳ということで。あと約1時間15分、残り18.7km。今の標高454m。通常だと下りだし楽勝なんだけど何しろ暗峠の大阪側下り、弘法の水から近鉄奈良線まで1.7kmの平均勾配が-20.1%、そう、最大でなく平均勾配が20.1%の下り。試走ではリムブレを冷やすために時々止まってポカリをかけていたが、どう考えても自転車を降りて走った方が速い。その時に立てた作戦どおり、弘法の水までは乗って降り、そこから椋ケ根橋までは押して走る。近鉄奈良線の高架を2時1分に通過、のこりちょうど1時間、距離16.3km。夜中だし普通に走ったら大阪の市街地といえどもグロアベ18kmで走れるはず。流石に東京と違って土地勘があるので全然焦らない。東京ならめちゃくちゃ焦って鬼踏みしてたはず。雨が酷く降ってきた。浜松以来、というか浜松以上の本降りかもしれない。やはり信号峠はすごいが、特にダッシュすることもなく徐々にゴールに近づいていく。伊勢本街道の始点といわれている玉造神社のそばをR308で通過する。ここから先は碁盤の目のどの道を通ってもいいし土地勘もあるが、一応ルートを引いたとおり谷町筋を北上し、中の島を渡る。ゴールまで900m地点であとちょうど10分。人間の歩く速度は4km/hなんで、5.4km/hやったらパンクしても自転車押して走ったら全然間に合うやろって余裕なんだけど、ゴールにお迎えに来てくれてるはずのえむきゅうさんドキドキしてるかな。無事24時間の4分前に大阪元標に到着し、12回目のキャノボ達成となりました。



たくさんの応援、お祝い、本当にありがとうございました。
迎撃してくださったchinatsuさんカナパンさん、お迎えに来てくださったえむきゅうさんヤスさんありがとうございます。キャノボはめちゃくちゃ楽しくて、少しでも見守ってくださっているみなさんに楽しさを共有したくて写真いっぱいツィートしました。一緒に楽しんでいただけていたら幸いです。
次はどんなコースでキャノボをしようかな。