駿河健康ランドですっかりリフレッシュし、階下のフィットネスジムに預かってもらっていた自転車を取りに行って出発。時刻は14時8分、滞在時間は46分30秒。なお、風呂に入っている間は建物の中、図のようにGPS衛星と通信できずに超適当にログが動くので、車輪にスピードセンサーを付けずにGPS頼りの場合は走行距離が伸びてしまうし、逆にトンネル内では走行距離が加算されないので、正確を期するためにスピードセンサーをセットしていく必要がある。

再出発時、グロアベは19.0km/hまで落ちているが気にしない。残り343kmを約16時間で走れば良いのでグロス21.5km/hで達成できる。トータル距離が短いのでさほど難易度は高くないが、トリッキーなコースで常に道を間違えないように気を付けていないといけないのと、普段鍛えていない階段昇降の筋力が要求される。すでに階段の登り降りは12を数えている。
清水の秋葉町の五叉路を通って清水東高校の横を抜け、新幹線に並行な道をショートカットするのは普段のキャノボでも使っている道、R1に復帰して静岡駅前を通り安倍川を渡る所迄は勝手知ったる道なのでさほど気を遣わずに走れる。しばらく行くと宇津ノ谷トンネルに上がる手前、地図の箇所でR1から外れて丸子宿を旧東海道で走る。都市に近い宿場はあまり街並みが保存されている事もなく、普通の二階建ての家に建て替えられていて、たまに残る厨子二階の家だけが旧街道の面影を残している。

R1に復帰し、宇津ノ谷トンネルは車道でそのまま抜ける。TO側は歩道もあるのだが、道幅も広いのでここで怖い思いをした事はない。トンネルを抜けるとほどなく自転車通行禁止になるので信号を渡って側道に入る。
しばらく走り岡部宿に入ると、道を渡って写真の岡部川沿いの自転車道に入る。ここも弧を弦にする作戦で畑の中の道を通る。地図の青いルートが旧東海道、赤いルートが実際に走ったログ。藤枝岡部インターの降り口の高架下をかわし、道路を信号で渡ったあと、歩道を押して自動車道の降り口に分断された元の道に復帰する。最短距離狙いでなければ本来の道路を走った方がずっと早い。特にややこしい部分はGoogleMapでペグマンを置いて何度も何度も予習し道路を頭に叩き込む。そうすると初めて走るはずの道なのに、ここはいつか来た事がある道だなって感じになる。旅としての楽しみは減るかもしれないが、今回は最短距離という道を間違えるわけにはいかないゲームを楽しんでいる。


K381(旧R1)に復帰すると、藤枝から島田、金谷峠と掛川までは本来キャノボで通る道なので心置きなく飛ばせる。金谷峠のホテルミカザトの先、現在夜泣き石が据えられている小夜の中山は明治になって作られた中山新道(旧R1)で、並行して自動車専用道の新R1、その向こうに旧東海道があり、そちらを通ると細くて劇坂だけれど少しショートカットできるかと思い航空写真を拡大しまくって道をさがす。ミカザトから少し進んだ所の道がない草むらの崖を自転車を担いて下ればもしかしたら行けるかもしれないが、危険そうなので諦める。道路のある所だとミカザトからK234を南へ行き数百メートル走ると道はつながっている。今回は最短距離狙いなので割愛するが、一度行ってみたい。小夜の中山の夜泣き石は元々旧東海道にあり、安産祈願に来た妊婦が山賊に襲われて石にのり移って泣いた話や、帰省する孝行息子が薩多峠で山賊に襲われた親不知の話など、当時は山賊が跋扈(ばっこ)してたから旅は相当危険だったんだろうな。

しばらく走り、キャノンボール東海道ルートでは大半の人が通る、沢田インターを通る。ここのOT側には以前は自転車通行禁止の看板があったが、道路交通法上問題が無いはずなので静岡県警に問合せ、まもなく正式な回答があり通行禁止看板が撤去された場所。今回は西行きなので逆方向、浜名湖南を通るルートならそのまま直進するが、浜名湖の北を通る最短距離なのでここで右折し旧東海道K253に入り、R1の北を複雑にかつ最短距離で抜けて天竜川に向かう。
大きな川に架かっている橋は限られているので、最短距離で走るにはどの橋を渡ると効率が良いか選択するのが大事で、その橋への最短アクセスを考えることになる。浜名湖北を通るには天竜川をかささぎ大橋で渡る必要があるが、袋井から磐田の間は山間の谷を縫うように道が続き、直線の道路がない。天竜川の少し東で道路が一部大きく湾曲して山から平地に降りてくる。この部分、結構な高低差があるのでヘアピンカーブになっているのだが、丁度そのヘアピンの中央に神社の鳥居のアイコンが見える。

この岩田神社、表参道と裏参道があるなら、もしかしらたら直線で抜けられるかもしれない。GoogleMapで見ると、社殿の方へ道路は通っている。ネットで岩田神社を検索すると、何件か写真が掲載されていた。西側、地図には何も見えず航空写真ではわからないが、大きな鳥居と急な長い階段があり、下に降りた道路側に数台車が駐車できるスペースもあるようだ。つまり西側が表参道で、下の図のように道路と階段がつながっている。もちろん通り抜けるために神社に寄るのでなく、きちんとお参りをして、旅の安全を祈願する。キャノボでこのルートを通る人は安全祈願に岩田神社にぜひ寄ってほしい。

という事で、神社の東の入り口は車道で、境内に向かって急坂の証のドーナツ型コンクリートの下り路面。写真にも地面のドーナツが映っている。下り切った神社の境内の端に自転車を立てかける。写真には見えていないがすぐ左に直角に曲がると鳥居があり、急な長い階段が下へ続いている。すると後ろからドーナツ坂をランニングウェアで下って来たおじさんが「こんにちは!」と元気に声をかけて、左の階段へ直行して行った。地元の人のトレーニングコースなのかな?お参りはええんか~いと心の中で突っ込みを入れながら、自分は自転車を置いて社殿へお参りに行く(自転車を持っていくと距離が伸びてしまう)

2024年2月17日、時刻は17時32分。この日の日没が17時30分なので写真では明るく見えているがもう薄暗くなってきている。ここからは夜間走行。景色が見えないので日没後の走行は嫌いなのだけど、キャノボは24時間以内のトライアルなので仕方がない。いつもは日没後はガツガツとひたすら走るのだけれど、今回はまだ何箇所も気を抜けない所がある。天竜川をかささぎ大橋で渡り、浜松市に入る。前編で書いた、徹底して航空写真を確認するきっかけとなった笠井町の中央分離帯越え、そしてその前後の市街地のややこしい所がもうすぐだ。
ここでガーミンEDGEのナビゲーション地図に標準採用されている昭文社地図にひどい目に合わされる。あるべき道が載っていず、ない筈の道が描かれていて、本当に酷い。実際のGPSログの地図とEDGEのナビ画面を掲載しておく。右下、天竜川方面から来てK45で右折し北に上がる。ここまでは問題ない。その後ガーミンナビでは3本目の角を左折する。市街地でGPS受信状況が悪い所では現在位置が数メートルずれる事があるので、ナビは現在位置よりも道路の形や本数を参考にする。3本目、細いなと思いながら曲がったら行きどまっている。実は2本目の青い線の所を左折しなくてはいけなかった。GPSログの地図は国土地理院の地図なので、すべての地図はこれを元に作られているはず。ガーミンの昭文社地図、赤丸の所に道がないのにある事になっている。勝手につなげたんだろうか?幸いそれほどロスする事なく本来の道に復帰できたが、地図が信頼できないと折角のナビゲーションも台無しだ。これについてはOSMという無償の地図を入れることで解消できる。この件についてはこちらのサイトを参考にして欲しい


ようやく浜名湖に達し、有名なうなぎのさくめの横を19時過ぎに通過する。スタートして262km、13時間が経過した。あと234kmを11時間、要求グロアベは21.3km/h。看板などに三ケ日の文字が見え始めた頃、右膝が痛みだした。拙いな、まだ200km以上ある。前前前回、さわやかR1キャノボTOで本宿あたりで膝が痛み出し、亀山まで何とか持ったが出力が上がらなくなってリタイアしている。痛みを薬で抑えてまでするチャレンジでもないと思っているのでロキソニンは持ってきていない。最後まで持つんやろか?さわやかの時はR1経由で約550km、残りの要求グロアベが24km/h以上あったので痛いのを押して回しまくって脚が売り切れてしまった。自分は脚が売り切れると痛くて続きが走れなくなるようだ。あの時も緊急でネカフェに泊まった翌朝に亀山から自走して帰れたので、膝痛が保護回路みたいな役割を果たしているのかもしれない。今回は要求グロアベも低いので、だましだまし走ってみよう。痛くなると左脚メインで右足は添えているくらいの感じで回し、しばらく休まると右足も回せるようになる。それを繰り返しながら進行していく。
姫街道本坂トンネルの少し手前、国道は坂道で本坂トンネルへと登っていくのだが、本坂関所のある古い町並みを通ると弧を弦にする作戦で少し距離を短縮できる。その代わりに最後は急坂を登る事になり、速度重視のキャノンボールにはあまり向いていないルートになる。図の赤いログのように間違って行きすぎかける。明るいと上の道が見えるのだが、日没後に初めての道はわかりづらい

本坂トンネルを越え豊川を渡ると、真っ暗な田舎道からどんどん開けて急に都会になる。名鉄の高架の歩道橋を押して登って越えると姫街道は終わりR1に復帰する。これで登り降りした階段は15。膝が痛くなったのも階段昇降が関係しているかもしれない。本宿をR1から逸れ旧東海道で弧を弦にする作戦、豊明インターを軽車両禁止回避で側道で抜けたあと800m程走って同様に旧東海道で名鉄前後駅前を弧を弦にする作戦で通過する。右膝の痛みは断続的にあらわれ、本宿からの下り基調の道でグロアベをどんどん稼ぐことはできないが、スピードが落ちる事もなく要求グロアベを同様に保ったまま、ゴールに近づいていく。JR笠寺駅を越えた所でR23に向けて左折する。時刻は22時21分、あと160kmを切った。要求グロアベは21.05km、夜中に四日市を通過するので渋滞も考えられず通常なら楽勝のペースなのだが右膝に不安が残る。
R23は東から堀川、中川運河、荒子川の連続した3つの橋が軽車両通行禁止で車道は通れない。だが橋の横に歩道橋が設置されている。速度と時間を考えると少し迂回しても自転車で渡れる橋を通った方が速いかもしれないが、今回の最短距離キャノボではすべて歩道橋を通るのが一番距離が短い。よく「担ぎ」と表現されているが、R23の側道歩道橋はすべてスロープが付いていて押して登り降りできるので、本当に担ぐよりは遙かに楽に通過できる。

木曽川を越え、河口近くで長良川と合流した揖斐川を越えると三重県桑名市に入る。R23から大阪へ向かうR1に移動するには、渋滞する四日市ー追分間を回避できる鈴鹿川沿いなど何通りか方法があるが、伊勢湾岸自動車道の下からR23を離れ、水路の横を通って富田でR1に直線的に抜けられる最短距離コースを選んだ。OTだと伊勢湾自動車道の下をまっすぐに抜けてそのままR23に入れるのだが、TOだと中央分離帯がありまっすぐの道へは渡れなかった。

相変わらず甘い薄皮パンシリーズばかり食べているので何か甘くないものが食べたい。牛丼屋に寄りたいが今の脚の状態だと少しづつでも走り続けている方がよい。追分のファミマで昆布のおにぎりとお茶を買って店の前で食べる。美味しい。最終コンビニにするためにポカリとピーナツクリームパンを補給し、トイレをすませて8分20秒滞在で出発した。時刻は0時18分、あと120kmを約5.7時間、要求グロアベは21.05km/hのまま。

キャノボではおなじみの趣きのある宿、関宿の中を通過する。家の明かり以外は景色が殆ど見えないのでつまらない。ここから先は鹿が出まくる加太を抜けてイシバシ工業の採石場の先まで獲得標高350mほどの登り。やはり2匹の鹿が随分先を横切っていったが今回はそれだけだった。一番寒いのはもう少し先の笠置町のあたりだが、防寒対策をしっかりしているので特にカイロを購入する必要性も感じず淡々と登っていく。負荷をかけ過ぎずに回していると右膝の痛みもかなり抑えられるように思う。加太の駅から少し先の加太宿の集落を旧大和街道で抜ける。集落を抜け暗い山道を登っていき、カーブを曲がると山が開けた空の低い位置に月が見える。峠を越え、全く車通りのない下り坂を鹿に気を付けて慎重に下っていく。最短距離を通るために柘植町も旧大和街道で集落を通過し、サンガリア伊賀工場の手前でR25に復帰する。
伊賀上野を越え木津川を渡ると、ほどなくまた山の中に入っていく。ここから木津の泉大橋までは登り獲得400m、下り500mのアップダウンを繰り返す。登り出すとまた膝が痛み出した。流石にもう無理なのではと思うがしばらくゆっくり走るとまた脚が回るようになる。あと少し、なんとか最後まで持ってくれ。笠置駅の近く、木津川沿いでVOLT800がフッと消える。1本目のカートリッジを使い切った。サイコンの下に逆さづりにしてるのでバッテリー警告の赤ランプは見えずに突然消える。止まって付け替えようとすると隣のすぐ横の河原で何か獣がガサガサガサッ。めちゃくちゃびっくりした。デイライト用の小さなライトをハンドルにつけていたのでそちらをオンにしてすぐに200mほど移動する。さあ取り換えよう。ツール缶から取り出しカートリッジを付けかえたらまた真横でガサガサガサッ、何でついてくるかな?大慌てでライトをつけて逃げるように出発する。泉大橋を3時56分に渡り終わる。あと2時間少し、距離は32kmほど。全然楽勝だ、脚の痛みさえなければ。川沿いをショートカットしてR163に入る。
ここから清滝峠の手前のR168まで獲得標高178mの登りとなり、実は奈良側からだと清滝峠はそこから90mほどしか登らない。途中一か所弧を弦にする所があり急坂を登るが、この辺はすでに試走に来てよくわかっている。何とか登り切り、清滝峠に向かう。狭いトンネルの歩道を通らずにそのまま清滝峠に登った方が速度は速いのだが、距離はトンネルの方に分があるので今回はトンネルを通る。4:46にトンネル入り口到着。ここからは18km、大阪市内の信号を考慮してもおよそ1時間あればゴールできる。脚を痛めているので泉大橋から随分時間がかかってしまった。

清滝峠から先は普通のキャノボならおそらくR163をそのまま走るのが信号のつながりも良くスピードも出せるので一番速い。第二京阪の側道を走るコース(青いコース)は信号のつながりが悪く、また所々に本線が軽車両禁止の区間があり、中央環状線を歩道橋で越えないといけない。最短距離という事で検討したが、複雑に路地を抜ける次の図の赤い道の方が獲得標高は5m増えるが距離が200m程短かった。R163をラブホテルの横から路地に入る。ものすごくトリッキーな道でおまけにガーミンの昭文社地図を使ったナビには表示されない道があり、何度か試走したが初見ではまず走れないと思う。夜間含めて2回試走に来てるので迷う事もなく、犬の散歩道のような地元の人しか通らない路地を走る。

もうここまで来たら膝が痛いもないので根性で辿りつくしかない。それほど慌てる必要もないので道を間違えないように淡々と漕ぐ。府道8号まで達するとそこからは道なりでそのまま元標まで辿りつける。虎の穴のメンバーがゴールに迎撃に来てくれているようだ。5時46分、清滝トンネルの入り口からジャスト1時間で梅田新道交差点のゴール前の2段階右折の位置に到着、信号が変わるのを待って5時47分、道路元標に到着、無事最短距離キャノボ達成となりました。
あとがき。コースを引くまではゲームとしてとても面白かったですが、走るとめちゃくちゃ疲れました。全体の距離が短いのでコース自体の難易度は高くなく、獲得標高も中山道や中央道よりは全然低いのですが、間違えたら取り返せない(戻った分距離が伸びる)という神経戦でした。相当検討したので道が増えない限りTOではコースとしてはこれ以上短くはできないと思いますが、数か所間違えたので実走100mくらい短縮できるかもしれません。OTではまた引けるコースは違うので、もしかしたら短くできるかもしれません。前編にも書きましたが、こんな所通れるんや、って気づきを与えてくれたhideさんにspecial thanksです。迎撃してくれたみなさん、最後家に送ってくれたえむきゅうさん、ありがとうございました。レクサス暖かかったです。おうち帰ったらすっかり明るくなったので速攻風呂入って梅の散歩も行きました。ルートはこれまでのキャノボ一覧に表示してますので、ぜひ参考になさってトライしてください。どなたかに最短距離を破られたら最大限のクードスを送ります。ちなこのトライアルだけはもう2度としないですっていいきれるほど疲れました~



